昨日、一本のメールが届きました。
宛名を目にしたところ他人とは思えず、いっきに読んでみればそれは「アウタビューをさせていただく」という報告?の文面でした。
あわせて「よろしければ、転載を」と書かれていたので、ここに載せます。
黒川は、なんとも言えない……みょうな気持ちでおりますが「お答えは期待しておりません」とありましたし、なんだかみょうなことをやる、それも面白いかもしれないと思っております。

以下、白川直樹さんによる「黒川直樹アウタビュー」の序文です。
本文はこれから少しづつ届けられるそうです。

よろしかったら。




黒川直樹アウタビュー
「ある夜のエクスに告ぐ」
〜君を前に僕は「103.61%縮小された肖像」のキミを見るのだが〜
アウタビュアー/白川直樹


黒川直樹は「ALTAのミラーと、夜のマネキンを361体ください。エクステンションはMPEGで。」を小 説としてリリースしたという。 だが、これはいったい何だ? タイトルの「ALT」Aとは? 「ミラー」とは? 「マネキン」が「361体」なのはどうしてなのか? 動画の拡張子である MPEGを末尾に置いたその意図はどこに? 背表紙には「ある夜のエクス」とある。

タイトルが2つ……

物語はバスに乗車してると思わしき人物の回想から始まる。が、じきセリフや景色が混ざりあう。「強い酒で臓腑をイジめる絵描きの描いた肖像画の火と実は、ここでなくそこでなく、あっちを夢見る虚ろであると書かれた本を読むことがあったなら、そうじゃないはずだ、と憤るつもりでいた。なぜならば、夢見る肖像が、どうしてか、なぜか、なぜそのような事をということについては、着色された硝子室に飼われる獅子だって、ひとつも吠えず奥歯を噛み締めるだけで味わえる苦虫になら、黒熊だって白熊の気持ちだろう。忍んだ森で夜露に濡れる鹿に出会い、かつ、角と角の谷に鬣が揺れていたら疑うといい。夢であるかどうかでなく。それが牡でなく狐かもしれぬと――」

このように硬筆による幻めいた「なにか」が美文調につづられることもあれば、「あたしが らんどせる さげていたくま ちいさくて だけれど すきだったので そうでした それでよかったです しろかった いつからだったの おしえてよ いやよ くろくなってしまうから じゃあおしつけてみてよ やあよ くろくなってしまったらどうするのよ――」 の調子に、ひとつの文体は回避される。(軽妙に? 周到に? いや、無垢に?)また写真やタイポグラフィも多用されている。こういった構造は、記憶の状態をトレースしていく際の必然……もしくは読み手の心象におけるプリズム効果への期待か?

駄作、陽炎、はたまた予知夢。おそらく「ある夜のエクス」は手に取る方によって全くちがう本になろう。あなたにどのような現れが生じるか。私には悪夢だった。無論、賛辞だ。





告責:白川直樹


http://alta-x.seesaa.net/
(白川氏によるアウタビュー本文は「ある夜のエクス 速報板」に掲載いたします)