アラザル2は手触りがよい。

「んー。どうでしょうね。上手になるっていうのは僕としてはあんまり興味が……」と話してくれた円城さんはタバコ吸うときでも背筋がすっと伸びているエレガンスジェントルだった、それでいてスーツの胸元にはアニメーションがカタヌキされた猫のピン……と思い出しながらアラザルのインタビューを読んでみたらプロットとして描かれたという図形(p016)……これがプロット……デカダンス……説明のブロックを読んでも図形の意味がわからない……無念……だけど図形とかイラストがプロットになるというのは、なんとなくわかる気がするのはブラックスワンや帝国エアリアルを書く前に似たようなことやってからだろうが、それをもうちょっと進めてプロットはどうしてプロットじゃなくならなきゃならないのかプロットはどこからプロットじゃなくなるのかそういえばプロットってなんなのか……ということをひょっとして面白く展開できるるんじゃないか。という試みのアイデアがまとまりそうなのでメモしておく。
それにしても円城さんが打ち上げに来てくださると思ってなかっただけに、杉森君のナイスイラスト添えのインタビュー読み込んでからお会い出来ていればなあ、記事と重複してることいろいろ伺ってしまったって思い知った、ついさっき、のことみたく憶えてるっていう不思議の小説を一年がかりで書いて、さてこれからどうしようというフェーズであるから余計にそう思う、書くってことがよくわからなくなってきている、わかっていたときがあるのかっていうとそれもまたあやしいし、そもそも書くってなんだったっけ、なにが書きたくて、なにが書けてて、なにが書けるかもしれなくて、なにがそうじゃなかったんだったけ、一年経ってダイブかわった、変わってしまった気がしていて、ソレはいいとかわるいとかでない、いや、たしかにそうだけれど、そもそも、なんでここにいるんだったか、居られている、居る、居て、あたりまえみたいになってる、でも……みたいなグルグルとビール十杯くらい飲んでたからかうろ覚えで左を向けば円城さん「意図は……汲み取ってもらうとかそういうことは……諦めているかな……読者……言葉は……ええ、突き詰めていけばそうですよね、きっと……ただ、それはそれで面白いんじゃ……物理や数学とは違うと言えるかもしれないけれど……手塚治虫」そして右を向けば「えー。けど、巧くなるってさあ……昨日の自分と明日の自分みたいな考え方からして……言葉?不確か?その上で何を?って、それこそ円城さんに聞いてみてよ」と話してくれたのは佐々木さんだった。まさか、お会いできると思ってなかったのでびっくりしたんだった。それで、こんど会えたら伺おうと思ってたことの十分の九がブっ飛んでしまい、西田さんや西中さんやウイちゃんや三上さんとのナニヤラの討論が激である様子を横耳にして「ヤイノヤイノ、なにヤラなにやらガむこうで激しいぞよ……」って熊谷くんと耳打ち合っていたものだから十の九その残りの一だってぜんぜん聞けないでいたら佐々木さんが「明日も早いの!だから帰るよ!」という咆哮に「ちょっとだけココに座ってください!」と引き止めたとき諸根君が一緒に声を挙げてくれてからアフター小一時間、現役作家数人をモチーフに人称と視点とジャンルの話をしてれた、小説は中間じゃないのかもしれない、いや、あたりまえだったか、小説から詩へのグラデーションの中ほどに散文が?いや、そうじゃないか、だって歌詞は?絵詩は?随筆は?平面じゃだめなんだよきっと、次元が違うんだ、それはルパンの銃だ、ヨッテンね、そういえば書き手の立ち位置ってどこ?カキカタニモヨルヨネ、ソウダネ、ナンテ、ウソダヨネけど透明な人称だったどうですか?でもそもそも言葉って、ああ、リアルなんてないよ、それはここぜんぶだから、リアリティのこと、ドキュメント、タリータリータリーとタタタタタとタタリリリとタタリだったらやっぱり一番最後の音が声で一番最初の奴は音だったか……いくら語り手を透明にして書いてあったって……そもそも言葉って……頼りないね、タヨリタイノ、太陽になりたいのよ、バーンズ、バーンズ、バーンズ、ズがルイだよ、なかったらどうなる?バーン、バーン、バーン、ああ、次元の銃に撃たれたみたいよジュリアンが、みたいなことのどれかを話した、どれかは話していないが、友兼さんは横になってスヤスヤしてて山下君はニヒルな沈黙で高内君はヒワイを連呼していたにも関わらず、ホントいっつも沢山飲んでるんだけど滑らかな呂律で本質を鞠にする佐々木さんを囲繞する同人が各々の間合いに話題が届けば居合いを抜けるよう謀ってたんだ、あの、一角、じゃなかった、居酒屋の一画に満ちてた緊張感ったらなかったけれど、ああ、パンデミック「豚ですか?」「いやチガウ」「豚じゃないんですか?みんな倒れてますよ?」「ソウジャナイもっとチカラを出せ」みたいなこと、もうあんまりちゃんと憶えてなくって残念だ。でも覚えてはいるのだ。そう、もうひとつ、たしか帰り際に「革命だよ!ぼくは……革命!」とおっしゃっていた佐々木さんのあれはどんな文脈で語られたキーワードだったのかというか昨年の革命といえば能生さんのフランスだけれどおれも聴きに行きたかったSIMのライブから戻った近藤くん&安東くんの面持ちを座敷から見上げてわかったんだ、「聴いてないけど、面白いに決まってる」んだった。目隠しがオデコにズレテルとチョーうけルよねってアニーと笑った。山本さんと話せてよかった。あとは佐々木さんと円城さんとの間に挟まってた時ふたりの「思い浮かべたものが書けないということはない/思い浮かんだものはぜんぶ書き起こせる」という頷き合いにミブルイした。そのまま麻布の人妻をかどわかせるようにって着てったスーツ姿だったけれど「クロカワサン!場違いですヨ!」って笑われたときアラアラとアトにズ去った、あれはまるでザ・ルーラだった。やっぱりオマエじゃなくってナマエで呼んでほしいかも。おわりに齧った甘くて柔らかいジェラードが赤かった。なんだよオマエばっかりさって、ズルかった。