まだミミナリ。

私は僕ではなく俺よりもおれとして貴方でない。貴方でないのと同じように世界でない。世界である。つまりそういうこと。つまりそういうことではない。
「演奏する身体、指先、つまさき、手先、視線」
貴方はあなたとしてアナタでなく彼方(カナタ)より来る私でない。つまりそういうこと。つまりそういうことではない。世界である。世界でない。どちらでもいいじゃない?よくない音がする音がするの?するから音なのかもしれない。するから、するから?擦るから。ああ、あんまりこすらないでね。だってもうそろそろいっちゃいそう。ごめんね軽いのは口だけじゃないの。くっついていたらどこからかいつからか私がわたしでなくなったようでした。
「両手の女、回転する、エンジン音、天井は見えなくなった」

お客さんたくさんいました。
白いフロア。白い壁。白い天井。それから大谷さんが赤Tで赤プーマだったのでじゃあおれは白組になってみんなを応援しようと心に決めたのだけれどフロアがとても静かだったので声が出せませんでした心臓の音が大きすぎて聞かれてしまうかもしれないからずっとドキドキしていたので残念な気持ちになる余裕がありませんでした。
「想像より感情を超えたいんです」
今はじょうずなことは言えないので祈りのうえを転がります。
ミミナリのせいでしょう。
雲があって鳥が飛んでいれば歌なんかいらないのに。
どうかあなたがわたしのあなたではありませんように。
黒が白を嫌いませんように。