おおせつかった大役の。

CINRAトークで鼎談の司会と記事の構成をさせてもらいました。



大橋可也×佐々木敦×西中賢治『春の祭典』鼎談
http://www.cinra.net/interview/2010/04/30/000000.php




「ディアギレフの愛人歴々において彼だけは、いわゆる色男じゃなかった」と書かれもするニジンスキーだが、どうしてなかなかでありますの証の一枚。撮影はなんと「……いずれは自身以外の音楽家を嘲笑する音楽家になってしまうだろう。しかし、いまのところ彼はひどく素晴らしい」ってドビュッシーに言わせたというストラヴィンスキー





フロイトが『トーテムとタブー』を上梓した1913年その年の5月29日 ―― それは木曜日だったが美しいものに美しい装いで耽り溺れようと愛にたるんだ肉を飾り翳りに隠した紳士淑女が列席した客間にはニヤニヤと潰れた帽子を恥じようともしないヤニの臭いきつい若者男女がニタニタ眼前の舞台に踊る神妙な珍奇を紳士淑女に重ね見ていたことを察した紳士淑女は「わな、わな、わな」おぞましさに奥歯を減らす合奏に痛罵のヴォルテージをあげていくヴェクテンが隻眼を睨みに極めるほどの未聞の侵犯によって白目を剥かれるキタールは翌日の『ル・フィガロ』紙上に呪詛を炎じるが……ル?……??……なあに?……ロモラ・ニジンスキーとプルタレス伯爵夫人の眉間には色濃い縦皺が刻まれつつあり劇場内に充満した未知との果し合い高ぶるシュミットとポールファルグが抑えきれぬ喝采の念を口々に荒れ狂うオーディエンスを諌める賤しい言葉として吐き出すのを知ってか知らずか「みなさん、とにかく聴いてくれ! 口笛はそのあとで!」と大泡を噴いていたアストリュク……ルナ?……なあに?……な、な、な……騒乱は鎮まるどころから淡々と演じられる未踏のバレエは白い油だったので燃え盛る燃え盛る燃え盛る騒乱はしだいに狂乱へと……ル?……ナ?……エル、なあに?……狂乱は供覧をサーブするサーブされた供覧に人の声など聞き取れるはずも無く……え?……ルナ……に?……汚らわしい野次という雄叫びが咆哮の野次を貴婦人の平手に叩かれた男とこの婦人をエスコートしていた男との間には「名刺」と「決闘の約束」が交わされる……エル?……なに?……舞台上から目配せする余裕などありはしないプリマドンナピルツとニジンスカこのバレエに静謐なアラベスクでひそめきの花を咲かせた夜ひとり閉じこもった書斎に未だ滾る渦のウズのウズウズくのウズくのウズウズするの覚めやらぬ高ぶりでもって「ザ・ワン」という狂歌を編むことになるガートルード・スタインB・トクラスと隣り合っていたフロアのどこかには少なくとも……ルナニ、ルナニ、ええ、ルナニ……デラージュとラヴェルという2人のモーリスは天才だった天才の2人のモーリスがモーリスがモーリスが剥かれた白目のような無惨な鼓膜を「ふさぐ」でなく「ひさぐ」ことでが供覧された狂乱に薪をくべるばかりのオーケストラの演奏に自らをまっとうさせようとしていたキンキー×キンキーの一画つまり一角に串刺しにされるなど矜持が許さなかったサン・サーンスが膨れ上がるメガロマニアックな争乱を劇場ごと内破せんと怒りの油で豊かな髯を尖らせていることなど露知らずいいや知ることはできなかったできなかったのは知りたくなかったからではなくすでに致死量寸前まで浴びていたからだ致死量に至ろうかという殺人的な客席からのプレッシャーが指揮者のモントゥーを押しつぶさんとしている指揮台からとてもとても遠くに設えられていた応接間にまで音楽ではない轟音がとどろいていた轟いていたとどろいていた応接間で……ル?……ナ……ニルナ?……ひとり神をも凍らせる冷たさにロシア・バレエ団の絵画を見つめる……エル?……なーに?……ああ、見つめているのは絵画を奉じたグロスだったグロスが己の描いたバレエ団の絵画を劇場の厚い壁までもを「つんざく」客席に乱れ飛ぶ「叫び! 叫び! 叫び! 叫び! 叫び!」がオーディエンスの耳も心も爪痕に轢いた晩の午前2時のことだ、それは、これは午前二時のこと ―― シャンゼリゼ劇場という伏魔殿からよちよちと離れたのだもうブーローニュの森なら抜けつつあるのだという一台の車を転がしていたのはジャン・コクトーだったけれど彼が午前二時のブーローニュを抜けようとしたそのときそっと覗いたバックミラーには初演を迎えた作品にインスピレーションを与えたレーリヒの姿はなく「あやかし」に憑かれでもしかたという恍惚的な集中力で40人以上の出演者ひとりひとりに自らメイクをほどこしたニジンスキーの隣には心の宙に私を放ったっきり黒目なら森の深い闇に盗まれてしまったストラヴィンスキーの2人がもたれかかるシートがバックミラーにまるで磔の体を晒していることには気づいていたディアギレフは唯ひとり追憶にうっとりしていたディアギレフは『まさに思った通りだ……』という呟きに継いで「ほろほろ」と涙しながらプーシキンを一篇そらんじ ―― 2つの大戦を亘る97の時のめくり ―― 2010年5月14日「トーキョー」―― 『春の祭典』その緞帳を踏みつけに剥がさん大橋可也&ダンサーズが。
―――――――――――――――――― 黒川直樹(BLOG用リード)


大橋可也×佐々木敦×西中賢治『春の祭典』鼎談
http://www.cinra.net/interview/2010/04/30/000000.php



――――――――――――――――


春の祭典」初演に立ち会ったといわれる人物だけをリードに引いたのに、読んでみてあらためて感じる多士済々っぷりったらなんなんだという。
いまより世界が狭かったの? 交通や通信の発達によって世界は狭くなったんじゃなかったのか? 
狭いとは? 狭いとは? 狭いとは?


構成の都合上、CINRA記事には載せられなかったですが、佐々木敦さんは大橋可也&ダンサーズについて、その「即物性」や「体の全てを把握することの不可能性だとか限界性のようなもの」など、含蓄に富んだ話をいくつも聞かせてくれたので、そのあたりについても突っ込んだ示唆があろう「5/16(日)ポストパフォーマンストーク」は必聴ではないかと。『春の祭典』公演の半券があれば、観劇が日曜以外であっても聴きに行けるようです。


これはスーデラ『OFFSEASON VS 大橋可也&ダンサーズ???』
4/29に演じられたパフォーマンスのTUBE。




――― 大橋可也&ダンサーズ『春の祭典』 インフォメーション―――――――――――――


大橋可也&ダンサーズはテン年代、最初の作品として、ストラヴィンスキーの名作「春の祭典」に挑戦します。
2つの大戦に突入した前世紀の10年代を代表する「春の祭典」がテン年代の東京に甦る瞬間に、どうぞお立会いください。
出演者には「帝国、エアリアル」で共演したドラマーHIKOをダンサーとして迎えるほか、大橋可也自身も3年ぶりに出演します。
世代間格差に対応した斬新な料金設定にもご注目ください。
本公演は2010年度唯一の大橋可也&ダンサーズの東京公演となります。
しばらくお目にかかる機会がありませんので、この機会をお見逃しなく。


公演のフライヤーはWebからもダウンロードできます。
http://dancehardcore.com/archives/000543.shtml


出演:大橋可也、垣内友香里、皆木正純、前田尚子、多田汐里、山田歩、唐鎌将仁、平川恵里彩、エフテル・プリュン、HIKO(from GAUZE)、ほか
振付:大橋可也
音楽:ストラヴィンスキー春の祭典」より


日時:2010/5/14(金)19:30、5/15(土)15:00、19:30、5/16(日)15:00
開場は開演の30分前
5/16(日)17:30より佐々木敦さん、森山直人さんを迎えたポストパフォーマンストークを開催


会場:シアタートラム
東急田園都市線三軒茶屋駅、世田谷線三軒茶屋
Tel: 03-5432-1526


料金:
10代(9歳以下含む):1000円、20代:2000円、30代:3000円、40代:4000円、50代以上:5000円
全席自由。当日料金はそれぞれ500円増し。
※チケットご購入に際して、年齢の確認はおこないません。ご自身の判断にて適切なチケットをお選びください


予約方法:
PCからチケット予約申込みフォームをご利用ください。
http://dancehardcore.com/archives/000544.shtml


あるいは、メールにて、tickets@dancehardcore.comまで、以下の1から6をご連絡ください。
1. お名前(フルネーム) 2. ふりがな 3. 当日ご連絡のつく電話番号 4. ご希望日時 5.
券種(10代、20代、30代、40代、50代以上) 6. 枚数


託児サービス・車椅子スペースのご案内もあります。詳しくはお問い合わせください。


問合せ:大橋可也&ダンサーズ
Tel: 03-6905-9264
Mail: office@dancehardcore.com


Kakuya Ohashi and Dancers
http://dancehardcore.com/



――― PASHA PROJECT FIRST COLLECTION ―――――――――――――




セシオン杉並(東高円寺
5/17 op 19:00 5/18 op18:30


坂本登喜彦振付 「PROUD」
石井竜一振付 「わらべ歌」
新村純一振付 「GITANA ARDORE」
松本大樹振付 「PARAHORIZON 」
松崎えり振付 「NORTE」


バレエ・コンサート
ラ・シルフィードエスメラルダ 、海賊


チケット:前売り・当日共@4,000


予約・問 PASHA OFFICE
E- mail:pasha.project@jcom.home.ne.jp
FAX:03-3948-0097