五月のこと。

目の前のビル建設がうるさいんだ、ほんと。「道に重機入れるから、置いてるチャリンコとかどっかやってくれ」。
はあ? なに言ってんのって感じ。
で、って、でっていうかなんていうかなあ、ここんところ、左どなりの住人は「にゃおー! にゃお!」って叫んでいます。
あと右どなりのボクシングバカは「ぼくが……ぼくが犯人! 誘拐、誘拐……してる、あなたは犯人? いけ、そこ、そこ、誘拐。誘拐した。ぼくが犯人、あなたは? 犯人です、犯人。ぼくが犯人。誘拐……」って、もうなんか場所が場所だったら即効でアウトなんじゃないのかっていうミニマルミュージックをシャウトしてる。
いやあ。五月だぁ。


自分新聞も16号になった。

10ヶ月目。10ヶ月目で16号。
まあまあのペースか?
やっぱり執筆が込んでくるとなんもやれないんだけど、たまにインデザインイラストレーターさわってないと、いざってときに鈍ってる体から立て直さないとならなくって、それがしんどいもんで。
なるべくやるようにはしている。




幽遊白書16/富樫義博

樹  立場は違えどお互い一人の男に魅かれ行動を共にした ちがうかね
桑原 けっ できれば教えてもらいてェもんだな あの仙水のどこが気に入ったってんだかよ
樹  彼の強さも弱さも純粋さ 醜さ 哀しさ 全て あいつの人間臭さ 全てに魅かれていった


最初に会った時は敵だった
「仙水を見て生き返った魔物はいない」
闇の世界で そうささやかれる程
仙水は既に強く
事実彼は倒した妖怪は全て殺してきた


だがオレは殺されなかった


仙水 死ぬ前に言い残すことはあるか?
樹  ……できればもう一日生きたい
仙水 なぜだ?
樹  明日「ヒットスタジオ」に戸川純が出る
仙水 オレも毎週見てる 16



仙水 霊界探偵を続けている内にね……心が何処かから腐っていくのがわかるんだ
浦飯 …………
仙水 だが それを止めようと努力する気がおきない 何故かわかるかい
   その腐食部分こそ本当のオレだということもわかってくるからさ
   君もきっといつか気づく
   何の為 誰の為に闘っているうちに 段々……
   闘うために目的を探すようになる
   血だけ見たくなるんだよ
   穴なんかもうどうでもいいんだよ
   お前と対峙するこの瞬間が最も大事なのさ 21


仙水 オレは花も木も虫も動物も好きなんだよ
   嫌いなのは人間だけだ



幽遊白書17/富樫義博
仙水   天沼を助けてくれたのか くくく 計算通りだよ
     あんたの魔封環が最後の難関だったからな
     できれば魔封環を使われる前に霊力を無駄使いさせておきたかったんだ
コエンマ なぜ……そうまでして魔界の穴にこだわるんだ
仙水   魔界へ来てみたかったんだ
     本当にそれだけだったんだよ


小さいときずっと不思議だった
「どうして ボクだけ見える生き物が いるんだろう」
「どうして そいつらはボクを嫌っているんだろう」
「殺そうと するんだろう」


答えが わからないまま
戦い方だけ上手くなった


「きっとボクは選ばれた正義の戦士で」
安易な二元論に疑問も持たなかった
「あいつらは人間に害を及ぼす悪者なんだな」
他の人間には見えない返り血にも次第に慣れていった


仙水   世の中に 善と悪があると信じていたんだ
     戦争もいい国と悪い国が戦っていると思っていた 可愛いだろ?
     だが違っていた
     オレが護ろうとしていたものさえクズだった
     そんな生き物の血が流れているのが無性に憎くなったよ
     いっそのこと魔界に生まれたかった
     もうオレに時間がないと知ったとき 一気にはじけた
     そう思ったら是が非にでも ここに来たくなってね


     来れてよかった


     界境トンネルは魔界の先住民への手土産程度のものだったんだ
     本当の目的は魔界で死ぬこと


     ( 中略 )


     次こそ魔族に生まれますように…… 
               (70頁〜)



幻海 あまったれんじゃないよ
   自分のケツくらい自分でふきな
浦飯 (ほらな……)
   バシュ スカピコ バキ ピコ ドコーン
幻海 仮にお前がこの世のすべて嫌になってぶっ壊そうと思っても
   もはやあたしに止める力はないしな
浦飯 何言い出すんだよいきなり(くそーまた負けた)
幻海 人は自分の気分次第で壊せるものをそれぞれ持っている
   おもちゃだったり ペットだったり 恋人だったり 家庭だったり 国だったりする
   お前はそれが人よりデカい それだけだ
   壊したくなったら その前にここに来な
   まず あたしの命をくれてやる



幽遊白書18/富樫義博
忌み子 飛影
氷河の国で生まれた呪われの凶児
名づけ親は盗賊
血が噴き出す寸前の
真赤な肉の切れ目が好きで
悲鳴を聞くと薄く笑うそんな子供
氷河の女が お前を恐れて
捨てた気持ちもよく
わかる


形見の氷泪石が
至高の宝石と知って
盗賊に見せびらかす為
首にかけた


それだけで
一日中血に不自由しなかった


氷河の国はもう
見つかっても見つからなくても よくなってた
お前は忙しい


時々 石を眺めて思い出す
そんな程度の故郷になった


ただの殺しに飽きた頃 地元の盗賊もお前を恐れて避ける様になった


石を眺める時間が増えた


そしていつか


石を見ると気持ちが和む自分に気づいた


石と向かい合う時だけ表情が緩む


不思議な力を秘めた石を通して
この石と自分を作った人を思う


氷河の国を探そう
理由は変わり始めていた


土地を移れば敵も変わる
なかには手強いヤツもいる


一生の不覚


探し物が二つになる
もっとよく見える目が必要だった


邪眼をつけるためには
特上の激痛に耐え
せっかく鍛えた妖力も失わなければいけないが
当時のお前にとってそれは都合がよかった


一瞬の油断で石を失くした自分自身が許せなかった


邪眼の力の一つ
千里眼でほどでなく
氷河の国は見つかる


隠密の帰郷
氷女は皆どこか暗く
いじけて見えて殺す気も失せた
幻滅することでお前の復讐は終わった


城の裏角
早桶の上に朽ちた墓標
それがお前の母親の寝床


しかし腹は立たなかった
これが彼女の意思だったのだろうと
お前は考えた


収穫はあった
妹のこと 名は雪奈
失踪して数年らしい
一つ目的を遂げ
新たな目的を得る


まるで漂流するように
お前は生きる

紆余曲折を経て人間界へ……
思わぬ出会い


妙な人間との戦い

また少しお前は変わる


妹は見つかったが
当然お前を知らない
お前も言わない
それでいいとお前は思う


あとは
自分の氷泪石を見つけるだけ
人間界での戦いも
そろそろ飽きた


しかし


「もし私の兄に会ったら この石を渡して下さい」


(これはオレの氷泪石じゃない)


そう思いながらも
お前は目的を殺がれたような虚無におそわれる


戦うことだけがお前に残り
とうとう
お前はいかに死ぬかを
考える


お前の意識は
今までオレが触れたものの中で
一番心地いい


不思議な石だな
憎しみを全て吸いとってくれるような力を
感じる


オレは
その石のおかげで
救われた


オレは生まれた時から玩具奴隷だった
自由の代償として
半身を失った


呪うことだけで強くなり
目にとまる者一人残らず殺した時期が続いた


その石が なければ
この体は まだ
憎悪の象徴でしかなく
戦闘は その発散の手段のままだっただろう


今ではこの右半身は
オレの誇りだ 治す気もない


お前なら全てを見せられる
今度はオレの意識に触れてくれ


生きろ
飛影


お前は
まだ死に方を求める程
強くない


―― 躯(40p〜)



以下に引用する詩を、幽遊白書ならびに富樫義博に。



『坐つた奴等/アルチュール・ランボー中原中也


肉瘤で黒くて痘瘡あり、
緑い指環を嵌めたよなその眼、
すくむだ指は腰骨のあたりにしよむぼりちぢかむで、
古壁に、漲る瘡蓋模様のやうに、前頭部には、
ぼんやりとした、気六ヶ敷さを貼り付けて。


恐ろしく夢中な恋のその時に、彼等は可笑しな体躯をば、
彼等の椅子の、黒い大きい骨組に接木したのでありました。
枉がつた木杭さながらの彼等の足は、
夜となく昼となく組み合はされてはをりまする!


これら老爺は何時もかも、椅子に腰掛け編物し、
強い日射しがチクチクと皮膚を刺すのを感じます、
そんな時、雪が硝子にしぼむよな、彼等のお眼は蟇の、
いたはし顫動にふるひます。


さてその椅子は、彼等に甚だ親切で、褐に燻され、
詰藁は、彼等のお尻の形なりになつてゐるのでございます。
甞て照らせし日輪は、甞ての日、
その尖に穀粒さやぎし詰藁の中にくるまり今も猶、
燃つてゐるのでございます。


さて奴等、膝を立て、元気盛んなピアニスト?
十の指は椅子の下、ぱたりぱたりと弾きますれば、
かなし船唄ひたひたと、聞こえ来るよな思ひにて、
さてこそ奴等の頭は、恋々として横に揺れ。


さればこそ、奴等をば、起たさうなぞとは思ひめさるな……
それこそは、横面はられた猫のやう、唸りを発し、湧き上り、
おもむろに、肩をばいからせ、おそろしや、
彼等の穿けるズボンさへ、むツく/\とふくれます。


さて彼等、禿げた頭を壁に向け、
打衝てるのが聞こえます、枉がつた足をふんばつて
彼等の服の釦こそ、鹿ノ子の色の瞳にて
それは廊下のどんづまり、みたいな眼付で睨めます。


彼等にはまた人殺す、見えないお手がありまして、
引つ込めがてには彼等の眼、打たれた犬のいたいたし
眼付を想はすどす黒い、悪意を滲み出させます。
諸君はゾツとするでせう、恐ろし漏斗に吸込まれたかと。


再び坐れば、汚ないカフスに半ば隠れた拳固して、
起たさうとした人のこと、とつくり思ひめぐらします。
と、貧しげな顎の下、夕映や、扁桃腺の色をして、
ぐるりぐるりと、ハチきれさうにうごきます。


やがてして、ひどい睡気が、彼等をこつくりさせる時、
腕敷いて、彼等は夢みる、結構な椅子のこと。
ほんに可愛いい愛情もつて、お役所の立派な室に、
ずらり並んだ房の下がつた椅子のこと。


インキの泡がはねツかす、句点の形の花粉等は、
水仙菖の線真似る、蜻蛉の飛行の如くにも
彼等のお臍のまはりにて、彼等をあやし眠らする。
――さて彼等、腕をもじ/\させまする。髭がチクチクするのです。


http://www.aozora.gr.jp/cards/001296/files/47296_34905.html



幽遊白書……なんつーエロさなんだ。
明日も生きててるって高くくってるヤツは一人もいなかった。
もっと書きたいことあるんだけど時間がないー。
鴉、桑原と戦うまえのトグロ兄、時雨、真田黒呼、雷禅の子を産む巫女……
抜群だと感じるキャラクターが全員ロン毛だったのは、いやいや、偶然っす。もう切ったし。
あと桑原がよかった。むかしはぜんぜんだっただけに、上昇率NO.1かも。
キザなんだよなあ……と思ってた鞍馬も、あれ、ぜんぜんじゃんって感じで。
ふつうの作家って人気NO.1のキャラクターに左腕落とさせたりしなくない?
それも簡単にっていうか……ためらいなく時雨の一撃に差し出される飛影の左腕。
あの時点で飛影を殺さないって、からだも継ぎ合わせるって、決めてのかわかんないけど、決めてなかったんじゃないかな、富樫さん。
そういうところも艶っぽくって。
ちょっと、これ、いいの……少年誌だろ……ってくらいのシーンとかセリフがたくさんある。
さっき引用した躯のセリフすごいでしょ?


お前は
まだ死に方を求める程
強くない


だよ?
小説でも読んだことないよこんなセリフ……




シャワー行った帰りスーパーに寄る。
しばらく魚食ってないなあ、魚食いたいな。まだ米炊いてないから弁当にしちゃおうかなあ。
と、これは鯖か、こっちは鮭。
うーん。
どっちも食いたいなあ。でもここんところ食いすぎだから二つはまずいよな。
「おにーさん、そのべんとーはじめて? おいしいンかな?」
ん?って隣を見ると、おれが両手に持ってた弁当を交互に眺めるギャル先生だ。
「さかなくいてー。さかな。ここんとこにくばっか」
にくばっか?
「にく。にく、きらいなんだけどぉ」
あ。
あれ何時だったっけ。
もう顔も思い出せないけれど、あれって誰だったのか。
森の夜露みたいな匂いだってもう忘れかけているんだが。
あすこは……たしか、よくわかんないピアノのかかった、うす暗い飲み屋のカウンターで、そこで四度目くらいの沈黙がはりつめたあと、
「 あ ん た き ら い 」
そんなつづりに次いで“バシャ”っとよく奔る馬車の轍、それからチョビ髭のマスターや両隣のカップルがこちらを覗く。
銀器にたっぷりだった飲み物が、おれの顔から服に垂れている。
なるほど。
たしかに言ったよ。
孵化したばかりの蝶を襟元にとめ、おまえを浚いにいくって。
そしてちいさな熱を焚いて炎にしてみせると約束した……んだったっけ?
だけどさ、そうよ話した通りよ。
こないだの夜、あるはずの連絡が無かったじゃん。
それでさ、あんまりにも寒くって、契りを交わした紙まで燃して暖を取らなきゃ、いられなかったんだって。
なぁんてむず痒くなる出し物に、むかーし参加したことがあってさ。
ねーさん、わかるかなぁ、出し物。
「出しちゃうの、ぜんぶ、そういう物なのよ、あれって」の略語で“出し物”っていうんだけど。
出し物、知ってる?
稽古してるとき腹減るんだ、これがまたすんごいの。だから誰か弁当頼んでってお願いしたら鮭弁当だったのよ、鮭。鮭弁当が届いてさ、焼きたての匂いするじゃない、ふわーってこれはすごいなあもう稽古してる場合じゃないよなって、じゃあ休憩、それで蓋開けたら鮭様がそこにいて、わー旨そう! なんつって銀の皮がぴょーって付いてる鮭でさあ、身なんかギュって肉付きのいい橙色だよ、ああ……うまかったなあ……だからさ? いまおれ、それ思い出したから、じゃあ今日は逆とって鯖にする? なんでって、いやいや、そうそうカバなの。
じゃなくて其の逆さでバカなの(笑)
ほんとよ、懐かしいって時々恥ずかしいんだよー。
なんつーイケブクリッシュジョークをね、お隣で質問浴びせてきたギャルに聞かせてみようかと思ってた、そんとき、おや? どうやらむこうに人影だなぁ……そして鮮魚の第四コーナーを曲がったひとりの男(ロック風のイケメン)がアクセルフルでスパートでお手前のギャルに近寄ると、
「おいーオマエさあ。どこ居るのよ、探したじゃん」
ってツッケンドンな投げかけのあと、おれ、すんげーチラ見された。


……罠?


うん。そうそう。
みんなトラップ巧すぎだからっていうのはフットボールの話。
FCバルセロナがリーガ優勝。あとはCLだな。
ユナイテッド? 
倒すでしょ。
そんでほら、ファーガソンが説得することでデル・サールがもう一年現役を続けるっていうさ。
チソン選手が大舞台に強すぎる件について関係者各位と対策を協議したい。





あーなんか東京つれーよ。
どうしたんだ?
こりゃ一回色んなもん外に出さなきゃーってことで、こっそり明け方に箱乗り、10万人をロックする気概に荒ぶるはずだった一人BOX降臨計画……


第一回『一人紅白歌合戦 』 2011年5月某日@池袋某歌箱 



一人BOX降臨計画は……惨敗……だめだったなぁ。
男・女・男・女……て30曲近くセットリスト作って、それどんどん歌ってみたんだけど歌手によって歌い方ぜんぜん違うんだなっていう。
あれこの人の歌ってどうやって歌うのってアジャストできなくって全く歌えず。ひどい不完全燃焼。
セットリストは内緒。
さいご時間ちょっと余ったから馬渡松子のさよならbeybeyを三回歌った。



猫にも「おまえ、ぜんぜんダメだったね!」って野良ニャーを喰う。
なあオマエさ。鼻利くんだろ?
あんとき銀器に入ってた液体、そっからどんな匂いするん。