ノバック・ジョコビッチ(セルビア/第1シード)×錦織圭(ジャパン/第10シード)

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@NY、現地時間6日。
全米オープン準決勝、錦織圭(世界ランク11位)が第1シードのノバック・ジョコビッチ(世界ランク1位/おれと誕生日がおなじ5/22)に勝った。
長時間の試合が続く錦織選手が不利かと思われたが、彼は最高のキーピングでこの試合を迎え、最後まで本調子を取り戻せなかったのがジョコビッチ選手だった。
セットカウント3−1で錦織選手の勝利。
体感気温35℃に達していたというNYのハードコートで(湿気も酷かったらしい)、錦織選手は三時間にわたる試合を打ち抜き、自身初のファイナルで闘うチャンスを掴み取った(誇張はない。けっしてフロックの勝利じゃない)。
決勝はマリン・チリッチ選手(クロアチア/世界ランク16位)との対戦だ。対戦成績は錦織選手の5勝2敗。
試合開始は日本時間、9月9日(火)の朝6時から。

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以下は観戦ツイート。
ところどころ文章になってないし断片のままのヴァースもあるが、まぁ、それも生っぽいからいいか。
リライトせず、書きっぱなしの要点については今後のテニス観戦で捉えなおし、練り上げたい。



なんていったらいいんでしょうか。ミラクル連発とかいいたくない、が、かってに口がそううごく
posted at 03:04:47


!!
posted at 03:05:58



第三ゲームの半ばでようやく1STサーブが入るようになってきた
posted at 03:06:18


ふぅぅ・・・もったいなかった。両者1セットづつとって第三ゲーム、5-4で錦織。つぎのゲームはジョコビッチのサーブ。
posted at 03:10:07



試合開始から二時間が過ぎた。王者ジョコビッチは本調子じゃない。ただ、この試合にベストを発揮しつつある錦織のキーピングが上回ったのだから、この点で彼は勝者。
ジョコビッチがサービスキープ。5-5で錦織のサービスが始まる。
posted at 03:15:32



錦織選手は今日のラリー、たびたびジョコビッチを正面から打ち崩すクオリティ。第三ゲームを奪取すれば、この勇敢なプレーは客席のテニスファンを味方にするかもしれない。それだけ熱い。
posted at 03:17:54



タイブレークで四点連取、錦織選手。ジョコビッチ選手、表情も冴えない。
posted at 03:24:01



しかし、中盤から終盤にかけて調子をあげてくるのがジョコビッチだと、解説と実況のお二人も話している。
posted at 03:25:17



ここでダブルフォルト・・・ジョコビッチ。5-2で錦織のサービス
posted at 03:26:35



錦織もダブルフォルト、5-4
posted at 03:27:57



両者にプレッシャーがかかっている、とのこと
posted at 03:28:13


6-4、錦織。セットポイント
posted at 03:28:46



ボールアウト、7-6・・・まじでタフなセットだった。第三セット錦織選手が取って2-1でジョコビッチをリード。アメリカの放送、解説席ではマッケンローが喋ってるらしい。
posted at 03:30:29



マイケル・チャンが錦織選手のコーチに就任し「お前は世界一になれる逸材だ!」という自覚・自信、そして闘魂を与えたという印象があったので、ジョコビッチ選手に対して気持ちをアッパーに前に出て闘うと思っていたが、見当違いだった。
錦織選手はできるだけ感情を上下させずにプレーしてる。
posted at 03:34:26



だからこのゲーム、「王者VSチャンプに挑む期待のホープ」という構図が成り立たない。驚きだ。このストーリーに乗らないことが錦織選手のメンタルの質、その変化あらわしている気がする。
posted at 03:36:47



グレイト
posted at 03:42:53



あちゃー、だめかと思われた0-40からヒックリ返す、サービスキープ。第四ゲーム、2-0で錦織選手。
posted at 03:43:37



ちょっともう信じられないようなレシーブが決まってる、こわくなってくる、なんだこの恐怖感は、あってはならないものが目の前に見える、立ち現れることで、禁忌に触れているみたいな。
posted at 03:45:53

ジョコビッチここはふんばりました……第四ゲームは2-1で錦織リード」
posted at 03:46:35



実況と解説のお二人が「錦織はテニスの天才」っていってる。世界的にもそう認識されてるんだろうか。サッカー天才といえば現役だとメッシ、シャビなど数えるほどしかいない(天才というのは肉体的資質に恵まれてる選手とはニュアンスが違う)。
posted at 03:51:16


第四セット、3-2で錦織選手がリードしている。
posted at 03:52:50


解説のさかいさん曰く「ジョコビッチは努力の天才」らしい。
「とにかくコートのカバーエリアが世界一広い。世界最強のディフェンス。そして相手を受けながら隙があれば反転する。この反転力も比類ないレヴェル」
posted at 03:54:55


ジョコビッチが凄いサーブを二つ決めた、としかいえないのがもどかしい。なんかもっと・・・こう、あるはずだが、見つからないし、つぎのプレーがはじまってしまう。
posted at 03:58:47



サーブを打つ、レシーブする、リターンエースを狙う、押し返す ―― というシークエンスの断続なんだけど、ワンプレーに選手には選択肢が浮かんでいて、判断と意志があり、ハードな運動の最中、脳内で高速算出された結果を見れば、選手がなにを狙ったかはわかるが、それ以外に感情も伝わってくる。
posted at 04:01:06



さらに、前のプレー、その前のプレーの余韻というレイヤーもあり、これからの予見も当然かぶさってくる。この前後行き来するイメージのベクトルとはまた別に、このゲームへの意気込み、モチベーション、先入観という意識の次元も重なる。ワンプレーごとに気持ちも変わるし、変数的な要素は他にもある。
posted at 04:02:38



マッチポイント、錦織選手。やべえ。まじか。
posted at 04:05:38


勝・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・った
posted at 04:06:28



これは文句なしの勝利です。ジョコビッチに勝った。
posted at 04:06:55

だが、こころから喜ぶのはもう一試合勝ってから、というチャンさんの冷静さ。
posted at 04:08:00


おめでとう錦織選手。この試合のことは忘れない。熱かった。あと、ロジカルだった。今日の錦織選手はフィジカルの総合力でジョコビッチ選手を上回っていけど、それより、堂々と、というよりも自然体で向かい合ってた。これから、こういう試合を、なんどもやる肝が据わってるように見えた。
posted at 04:12:51



彼が、世界的に見ても傑出した才能、テニスの天才と認められてるのだとしたら、錦織の決勝進出が日本人うんぬんなんて物言いは無意味だし、事の魅力、迫れるかもしれない本質から離れていくだけ。妙な先入観を植え付けるのはよそう。
posted at 04:16:52



天才がたまたま日本に生まれただけだ。ただ、スタジオ(現地?)で涙をこらえられなくなってる元プロの神尾さんのように錦織を昔から知ってたり、自分でもツアーを闘ってきてたり、日本のテニス界のことがわかってるひとは、感情移入もあるだろうし、誇らしかったりするはず。松岡さんも泣いてるな!
posted at 04:20:08

(From/@alta_xxx)





MEMO------------------------------------
テニスは(シングルスの試合なら)1対1のゲームなので、サッカーよりもはるかにゲームの趨勢や展開が見えるし、心理を辿りながら観戦でき、因果関係に照らし合わせていける。もちろんそれだって想像の範疇で、正確性も事実性もなし、観戦者のファンタジーに変わりないが、とはいえこのファンタジーの濃度・強度がサッカーとはまるで違う。おれにとっては状況論と原理論くらい違う。書き起こすとしたらテニスのほうが性にあっている ――
大枠でいうと5セットのうち3セットを先取すれば勝ち、ミクロで見ればワンゲーム内を4点先取(3点で並べば、そこから二点先取)すればゲームブレイク、ゲームがブレイクされたらサービス権が動き、ゲームとゲームの間にはコートチェンジ、セットとセットの狭間には小休憩が入る。このルール・ゲーム構成をブリッジに、勘所となったラリーやリターンを分析・記述し、流れのなかの要所を書き起こし、グリッチには両者の心理(といっても取材した生の声ではなく、あくまでも想像に基づいたモノローグですが)を挿していくと、まちがいなくそのまま小説になる ―― と思いながらツイートしていた。


世界的に広まっているスポーツで、さらに一対一の競技で、世界ベスト10、その上に行くというのはとてつもないことで、一度きりではなく、このグループ ―― もっとも競争が厳しくレヴェルが高い四、五人の層 ―― でプレーし続けるには、それだけの技術、体力、そして精神力が不可欠だろう。
この『ジョコビッチ×錦織』で感じたのは、調子があがらないジョコビッチ選手がそれでもどうにかフィジカルとメンタルを向上させようとし、力が入りきらない心身であろうと、ときおり強烈なサーブやレシーブで試合の流れを引き寄せていた姿だ。ただ、種火は炎にならなかった。重ね置いた薪が湿気ているのか煙は立つんだけど燃えきらないでくすぶっているような感じ、いちど燃え上がればその炎のサイズは世界でもっとも大きく、温度もまた世界一高いはずというポテンシャルをびんびんに伝えてくるジョコビッチ選手だけに、イききれないもどかしさを本人が一番自覚しているだろう ―― と思えた。


一方、錦織選手には驚いた。去年の全英でのプレーなどに感じられた、昂ぶりや気迫、格上相手に燃焼していこうとするプレーぶり ―― どうにかトップ4に食らいつき崩そうとする意気込みが表に出てこない。もちろん弱気だったという意味じゃない。彼はおそらく「自分はこの場に、セミファイナルにいて当然なんだ」と思っていた。そのようにコントロールしてきた。
 「挑戦者という立場」( = 敵が上。格上と自分)
 「自分のスタイルを貫く」( = 自分しか見てない。相手の長所短所やゲームの流れを読んでプレーすることができない)
 「自分は弱いと開き直って闘う」( = あたって砕けろ精神。勢いに任せがちになる。ゲームや相手を冷静に読む心理からは程遠い)
プレーにおいて、大一番において ―― このような“ストーリー(宗教心・妄信にもクリソツだが)”には乗らず、頼らず、トレーニングしてきた内容やコーチと作り上げた戦術、そしていま自分が立会い、プレーしている試合のライブ感 ―― 自分の調子、相手の調子、ゲームの流れ、プレーごとにかわる局面、予測される展開などなど ―― に柔軟に応じ、読み、チャレンジを続ける錦織選手のプレーぶりが印象的だった。
つまり錦織選手は自分自身を「非日常」に置いていなかった。あくまでも日常(という言葉は適当じゃないんだけど今は別の言葉が浮かばない)に居るように見えた ―― そんなメンタルのモードで、それはいってみればトップが狙える精神的なレヴェルに達し始めたということかもしれない。そうだ、そうかもしれない……錦織選手にはジョコビッチ選手にもできない深いゾーンからの鋭いリターンエースを決められるセンス・テクがあり、ハードな連戦にも落ちなかったフィジカル・エネルギーも向上している。身体的には昨年からおおきく飛躍しているように見える……が、マイケル・チャンコーチとのトレーニング・カウンセリングの効能か、これが錦織か? 別の人間じゃないか? 同一人物とは思えないほどにメンタルの質が変わってきている ―― 「四大大会のセミファイナルでプレーするのは当たり前のことだ」 ―― これで常に闘えるようになるなら、彼はリアルに世界のトップクラスとしてツアーを転戦する、テニス界の中心選手になっておかしくないという興奮が沸きあがって収まらなかった。


おれは技術的なことはまったくわからないのだけど、錦織選手のファーストサービスの威力や成功確率のクオリティは、おそらく物足りないはず。また、きらめくリターンやラリーを決めた直後の凡ミス(技術的にはそれほど難易度が高くないように見えるショットやリターンなど、コースを狙いすぎてネットにかけたり)など、まだまだ改善されるべきポイントはたくさんあるだろう。でも、それはマイナスじゃない。彼にとっては可能性だ。
フルフォームのジョコビッチ選手が感じさせるサイボークネス(人間じゃないくらいミスがなく揺るぎなく強く)の「完成度」に、それ以上は残されているだろうか。ジョコビッチ選手がこれから一つも二つも化けるという可能性はない……なんて断言はできないし、するつもりもないけど、彼の「仕上がっている・出来上がっている・作り上げられている」感と、錦織選手の印象はまるで違う。
錦織選手は拍子抜けするほど簡単にミスをしたり、サービスがもう一つだったり、荒削りさとか磨かれていないところ、人の手が入っていないところがたくさんある気がして、そして、それは余白 ―― ここでいう白さとは自由であり自在であり ―― 錦織選手固有の可能性だ。期待の若手のことを“ホープ”というが、もとい、それが「願い」という言葉であることの意味を、彼に教わる。
洋の西や東を問わず、年齢を問わず、国籍や競技をも不問に ―― 現在、錦織圭は最も可能性を感じるアスリートの一人だ。わくわくする。


全米のファイナル、錦織圭マリン・チリッチ、どちらが勝っても初優勝! さらにはお互いに四大大会の初優勝になる!
とても楽しみ。
緊張もあるだろうけど、二人にとって充実感に満ちたゲームになるよう、願って。


火曜日は朝六時に起きるぜ!






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